小屋の下見にて

今日は小屋の下見である。

私は基本的には「どんな空間でも空間でさえあれば芝居は可能」と思っているのだが、自分の芝居にふさわしい空間というのは何となくわかっていて、小屋を決める時には嗅覚を働かせて劇場の「におい」を嗅ぐ。

 

今回、伺った小屋はふたつ。で、そのうちの一つは私たちの芝居にぴったりはまる、と感じた。決して広くはないのだが雰囲気がある。どんな雰囲気か、だって?地下室の雰囲気に決まっとるだろう。つまり、「アングラ」の雰囲気さ(笑)。

 

で、また奇遇なことに、小屋主さんに「あなたたちの芝居はどんな芝居?」と聞かれて「う~ん言うのは難しいですが自分的には○○みたいな感じを目指しています」とこたえたところ、「えっ実は私も○○大好きです」というハナシになり、「え~!そんな小屋主さん、初めて会ったあ!」という流れとなって・・・下見のつもりが思わぬ長居となってしまった(笑)「そういうヒト、あんまり会ったことありませんよ。ぜひウチでやってください」とまで言って頂ける次第で(そんなこと小屋主さんに言われるの、初めて)・・実はこちらの第一希望の日程が埋まってしまっているのだが、そこもちょっと何とか調整できないかやってみて下さるとのこと。日程があえば是非、こちらこそやらせて下さいとお願いしてきた。

 

「なんの疑いもなくリアリズム芝居をやるのではなくて、たとえおぼろげながらにでも演技論における志を持ってやっているならば、たとえそれが下手くそであれ、評価することにしている」という小屋主さんの考えは、極めて私と近かった(この雑文でも同じようなことを前に書いたことがある)。「でもやっぱりあれでしょう。そういう系統だと、なかなかお客さんをつかみにくいでしょう」「そうです。いつも白眼視されます」なんて話で妙に通じ合ってしまったり・・稀に見る嬉しい出会いだったと思う。我々の公演を楽しみにして下さる分プレッシャーとなるが、がぜん、やる気にさせられた。少々の障害などはどうともなれ。志さえ伝わればいいじゃないか、あたって砕けろ!、と思った。