一にも二にも、コトバ

大切なのは、一にも二にも、

コトバを表出する、ということ。

コトバを人に言う、ということ。

役者さんがコトバを言うとする。

それじゃだめだよ、届かないよ、とダメだしをするとする。

繰り返しの果てに、やがて、

「届いた」という瞬間がくる。

 

その瞬間に立ち会うことー

それが結局は、私にとっては稽古の醍醐味である気がする。

 

本当に人にコトバを届ける、というのは、そんなに簡単なことじゃない。

 

障害はまず、自分の中にある。

 

自分の中に定めてしまっている限界ーまずはそれを破ること。

破ってはじめて、「コエ」が生き始める。

 

その「瞬間」に立会いたい。

 

本番があるからこそ稽古がある。だが、稽古こそ私には最も大切な時間だと思っている。