「いる」のではなく、「ある」

役者というのは「人間」であってはならない。

音声を表出する「楽器」、もっといえば、ただそこに存在することのできる「物体」ー。

 

少なくとも私に限って言えば、

わざわざ舞台を観に行って「人間」など見たいとは思わない。

 

私は「ニンゲンを超えた何か」があらわれる瞬間に、立ち会いたい。

私が舞台に期待するとすれば、ただそれだけだ。

枠を超えること、はみ出ること。

自分に言い聞かせよ、あなたはそこに「いる」のではなくて、「ある」のだ、ということー