昨日のジョー
2002.10.11~14 於:Plan-B
作・演出 十六夜ひばく
音響・映像効果 竹内秀雄
照明 阿部真里子
衣装メイク 篠原志奈
出演
瀬戸鳴海
葉田野絵弥
唐木健介
三井和紀
篠原志奈
竹内秀雄
そこは煙草の紫煙たちこめる地下喫茶「69」。
「ジョー」というあだ名を持つ男が店長を務めるその店には、マリアと呼ばれる博愛の娼婦がおり、われわれは金さえ払えば彼女と奥の間にてチョメチョメすることが出来るという。しかし、喫茶店のウラの顔たる売春宿のそのまたウラには、都市の転覆を企むヒミツ結社というカオが隠されていた。そこでは秘かに、コーラ瓶にしかけた大量の爆弾が製造されつつあったのである。
それにしても、地下喫茶「69」の便器はよく水詰まりを起こした。不感症が極まり、ついに客としか寝ることの出来なくなってしまったマリアにとって、決して流れ切ってくれない「69」の便器は、みずからの肉体を象徴するものに思えた。
そればかりではない。
彼女にはかつて恋人がいたが、彼は遠くパレスチナへ「革命戦争」のために飛び立ったまま帰ってこなかった。それ以来、彼女にとってはこの「日本」という国そのものが、決して自分の欲望を叶えてはくれぬ「詰まり切った糞便器」そのものだったのである。
店長のジョーはマリアの元・恋人の弟であった。彼は兄のようになりたい、つまり世界革命のために身を挺して戦いたい、と憧れながら、決してそうなれないただのグウタラである自分にコンプレックスを抱いていた。のみならず、回復不能なインポテンツに陥っていたのである。彼は兄のようになりたい欲望を叶えるため、マリアの肉体をモノにしようと何度も試みる。しかしマリアの女陰は執拗にそれを拒み続けるのであった・・・
詰まり切った糞便器の水道管がついに破裂するその時、決して開放されることのない彼らの欲望はどこへ向かい、何を撃つのか?
日の丸が照らす地上一枚ひんめくれば、誰も録することの出来ない無言の叫び声が、市街戦がいまも続いている・・・!